ナイトパドリング妙語録 

ナイトパドリングお約束グッズ

ナイト○○○

夜光虫を華麗に発光させるためにふさわしいグッズや行為に対して敬意を表し、枕詞として「ナイト」を用いこう呼んでいます。

 

ナイトパドラー

様々な理由でナイトパドリングを行う方がいますが、ここでは夜光虫、海ホタル、オワンクラゲ、ホタルイカなどの発光現象を楽しんだり、生物の夜の行動を楽しむため、夜の海に繰り出す方を呼ぶ名称として使用しています。 

ナイトシーカヤック

シーカヤックのバウの構造が大きな造波抵抗を作り出す形状であると、夜光虫の海ではただ漕いでいるだけでも造波抵抗の少ない艇よりも濃厚な光のジュウタンを発光させることができます。このタイプの艇で思いっきり漕ぐ時に発生する光はSF映画のワープと同様の後ろに星が流れていくような感覚は圧巻です。青白くユラユラと光ながら揺れる海面は、まさに三途の川を渡っているようなイメージです。

ナイトシンクロナイズドパドリング(夜の海のブルーインパルス)

島で海辺の民宿などに宿泊して、ナイトギャラリーがいるときに喜ばれるイベント。ブルーインパルスが飛行機の後部から様々な色の煙を吐きながら演技をするように、夜光虫の海で光る航跡を引きずりながら見せるシーカヤック演技。

ナイトパドリング時にみんな好き勝手に夜光虫の発光を楽しんでしまっているので、一度も実現されていないイベント。99年5月、瀬戸内海の真鍋島で夜光虫密度が濃かったため、20m離れた岸からも綺麗に見え、「2艇の進路が光ながら交錯する瞬間がかっこよくて、その後はずっと見続けていた」と女の子に言われてから思いついた。

事前に打ち合わせさえすればきっと完成度の高い演技ができるはずである。発光の難易度、発光のさせ方の独創性、発光演技の多様性、発光水面の有効な利用等を工夫すると、みんなが楽しめると思う。静水でもクルンクルンまわるスクォート艇などの使用も面白いと思う。

ナイトロール

日中行うロールと違い、夜光虫の発光する海域では見学者と実行者の両方が楽しめる妙技。見学者側からは暗やみの中にくっきりと人型が光り浮き上がる。実行者は水中眼鏡を着けて行うと水中で洗濯機の水が発光しているような光のトンネル現象を観測できる。

ナイト沈

沈した瞬間から同心円状に発光しながら広がっていく大きな波紋と巨大に光るミルククラウンは、見ているものを魅了させるだけのものがある。沈後の本人は、最乗艇のためもがけばもがくほど見ている仲間に、感動的光の乱舞と綺麗な発光を提供する素晴らしい行為であり最も栄誉とされること。 

ナイトシュノーケリング

シーカヤックに座って夜光虫を見下している視点の状態から、一気に発光現象の起こっている現場へと導いてくれる画期的観察手段。水中で体を動かすと全身が光の繭に包まれたかのような現象が起こる。臨死体験の話しとどこか通ずるものがあるように思う。瀬戸内海の宿で見たときは、全身からオーラを発生しているような人型を目撃できた。

ナイトパドル

水面に突き刺さり、その場にとどまりやすいワイドブレードよりも、水中で後方に滑っていきやすいナローブレードのパドルによって行われた発光は水中をかき回すため芸術ポイントが非常に高くナイトパドルと呼ぶにふさわしい。ナローブレードのパドルで生じやすい特有の竜巻型の渦は、より感激度の高い発光を長時間呈する。リトルディッパーなどは最高級ナイトパドルに該当する。

ナイトビルジポンプ

夜光虫密度の高い海域で表層の海水ごと夜光虫を吸い上げ、美しいアーチ状の光の噴水を作り出すために必要な道具。排水口の面積が大きいビルジポンプほど、より美しい発光が期待でき、ナイトビルジポンプと呼ぶにふさわしい。30〜40代の世代の方には宇宙戦艦ヤマトの波動砲を思い起こさせる。

ナイトラダー

自分の航跡をより美しく光らせるための儀装品。ナイトパドリングでは、ラダーを短い周期で犬の尻尾のように左右に振ることによって、より一層美しい夜光虫の発光軌跡が得られる。これが付いている艇と付いていない艇では、夜光虫大発生時に起こる航跡の光り方に差が出てしまう。ラダーは接水面積の大きさよりも接水線が長いほど効果は大きく、かつ、ラダー軸よりも遠い場所にラダーを降りる状態がよい。以上の理由により海面を引きずるようにラダーを15°〜30°の浅い角度で固定して降ろし、低速で漕ぐと期待した効果が得られる。

ナイトロープ

ラダーが無いときは、2mぐらいの長さのロープをスターン(シーカヤックの一番後ろ)に取り付け、海面を引きずりながら流すと、光の尾の引き方の芸術性が高まります。リバーツーリングで流された人を回収するスローロープでも代用できますが、10m以上の長さがあり、障害物や他の艇に絡まったりする場合があるので注意。

ナイトネット

何のことか?と思うが実態はホームセンターで売っている200円前後の熱帯魚すくい用の網。非常に目が細かく、海面付近を何回かすくうと夜光虫が光ながらうようよと固まりとなって網の中に集まる。初めて夜光虫を見る人に説明するときに便利である。 

サヨリ

幼年期の若サヨリは湾内などの比較的浅場の海面を夜な夜な大集団で回遊する。回遊の群れにシーカヤックで遭遇すると、水面から一斉に跳ね上がりシーカヤックのデッキ上にまで飛んでくる。これが夜光虫の海で起こるとあたり一面が、無数の光の海と化す。この世のものとは思えない光景。

 トビウオ

サヨリと同様に水面に飛び出すことによって夜光虫を発光させる。しかしサヨリのジャンプに比べ水面から飛び出して滑空に移る前に、尾ひれを水面で振り助走を行うため発光の度合いは劇的に増加する。

オワンクラゲ

日中のパドリングでもよくオワンクラゲを見かけるが、暗い所で刺激すると発光する面白いクラゲ。大きさは5〜15cmぐらいのものが多く、上から見下ろすと真ん中に○が一つあり外側に向かって放射状に筋がある。色は半透明。人が触っても無害である。シーカヤックで夜の海をゆっくりと漕ぎながらこのクラゲを探し、近くに見つけたらパドリングをやめ惰性だけで微速前進し、ラダーで進行方向を調整し艇を近づけていく。指でオワンの部分をつつくと、航空管制塔のレーダー画面のように縁に沿って光がキラーンと広がる。筆者はこの発光が面白く自宅のクラゲ水槽で飼育してみたが、春先に笠島で採取して飼っていた小さくてかわいげなドフラインクラゲがこのクラゲによって食い尽くされてしまった。クラゲを食うクラゲであったことがこのとき初めて分かったという苦い経験がある。

海ホタル

瀬戸内海の真鍋島にシーカヤックで渡った時に

 

夜光虫鑑賞前のチェックポイント

月齢表(潮時表)

発光生物の光を楽しむとき、半月〜満月の晴天に行うと月の輝きが明るすぎ、鑑賞には適さない。筆者はこれで何度も失敗していて、最も気をつけなければならないこと。長距離遠征したときなどは「何のためにここまできたのか」とトホホ状態となる。

漁火

春の終りから夏にかけて、イカ釣り船の明かりが視界に入る場所では、夜光虫の鑑賞には適さない。何と言っても通常見かけるイカ釣り漁船でも、1kwの目が眩む電球を20個近くぶらさげているので、5kmほど離れていても、新聞の字が暗闇の中で読めてしまう。入り江や湾内などで漁火を防ぐ適度なブラインドとなる岩や山があることが好ましい。

クラゲ大発生

ミズクラゲなどが時々大発生し「原発の2次冷却水汲上げの取水口がクラゲで目詰まり」とニュースになるが、このレベルになると、クラゲが夜光虫を補食しすぎるため、一般的に発光密度は低くなる。

アカクラゲ

臨海学校の遠泳でよく生徒がまとめて○○人刺されたと騒がれるクラゲ。刺されると非常に痛いので、ナイトシュノーケリングなどをする予定のある時は、明るいうちに海中にこのクラゲがいないかチェックしておくとよい。見分けは簡単で「赤茶色のスイカ模様の足の長いクラゲ」がキーワードである。予定地の岸辺に打ち上げられていたり、陸から見える海中にこいつがたむろしていなければ、ほぼ安心できる。 

ホタルイカナイトパドリング

春先の富山湾で夜に行われるイベント。

 

 

注意

 

手漕ぎのボートで夜釣りのために出かけられる方などが多いので、それを見て安易にナイトパドリングも簡単だと考えて出艇すると思わぬしっぺ返しを食らったり、「遭難かっ!」と騒ぎが起こってしまうことがあります。以下の点には十分に注意されてください。

 出艇場所は街灯などの夜でも遠くから見える目印がある場所を選びましょう。街灯などが無いときは、明らかにこの場所から出艇したことが分かるように、よく見える光の目印をおいてください。

一人ではけっして出ないこと。出艇しようとしている海域のナイトパドリング経験者と同行が望ましいです。また、パドリング経験の少ないもの同士での出艇も控えましょう。

複数で行動するときはお互いの声が届く距離よりも離れないこと。バディーを組むなどでお互いの存在を確かめ合う方法を必ず取ってください。また2分おきくらいにこまめに全員の所在を確認し合いましょう。遭難ではなくても、仲間が見えなくなったとき内輪で遭難騒ぎが起こり、全員で捜索するといった騒動にまで発展します。棒状の発光スティック(釣具屋・アウトドアショップで販売)をカヤックのデッキに付けておくと、さらに所在が分かりやすくなります。 

意図的なナイトロールやナイト沈をするときは、岸から近いところで事前に宣言して注目を集めてから行いましょう。不意に沈してしまった場合でも「アーッ」と大声を出し続けながら沈をすると、水を飲まずに済みますし皆の注目を集め異常に気がついてもらえます。   

宿に宿泊しているときに行う場合、ナイトパドリングの趣旨と行動範囲、帰着予定時間を伝え、行動半径は理解してもらえる範囲内で行いましょう。宿の方は様々な情報をビジター以上に持っていますので、止められた時やアドバイスには素直に従いましょう。

飲酒後は、絶対に出艇しないで下さい。

出艇直前に天気予報を必ず確認して下さい。

天候や視界の悪い日には出かけないこと。

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