腸炎ビブリオ食中毒について

海水温が上昇する季節には日常の食卓で口している海産物でも、流通過程で腸炎ビブリオ菌が付着繁殖してしまい食中毒がよく起こっているようです。国内で起きる食中毒の原因菌のなかで、腸炎ビブリオは常に上位の地位を保っています。

ネイチャーシーカヤックの醍醐味の中には、食卓には上らない珍海産物を採取した後に調理して楽しむというものがありますが、美味しく楽しむためにはいくつかの注意ポイントがあります。

腸炎ビブリオ

塩分(約2〜3%)を好む細菌で、生活の場は海の中です。海水温が低い冬場は海底の砂や泥の中に潜んでいますが、海水温が15℃を超えると、海水中に出てきてみるみる増え、魚介類に付いて調理場まで運ばれてきます。特に海水温が18℃を超えたあたりから食中毒注意報というものが出ているようです。

細菌繁殖の適温(35〜38℃)では他の細菌に比べて増殖が速く、また、食品から器具、器具から食品、といった具合に次々と二次汚染が広がってゆきます。

どんな食中毒なの?

大量の腸炎ビブリオが付いている食品を食べることにより、体内で、菌が腸管に作用して食中毒を起こします。このような食中毒を感染型食中毒といいます。

体内に100万個を超える腸炎ビブリオ菌が入ると、およそ10〜18時間後に、腹痛、激しい下痢、吐き気などを起こしますが、ふつう抗生物質を投与すると1〜3日で回復します。しかしその後も1週間ほど軟便が続くようです。

予防は?

腸炎ビブリオの弱点は熱、真水、低温ですので、予防のポイントは次の3点です。 

 1 加熱

   100℃では5分、60℃では15分の加熱で菌は死滅するため、調理で加熱を十分に行います。

 2 水洗い

   菌は真水に弱いため、魚介類は水道水でよく洗います。(溜め水でなく、流水で洗いましょう)

 3 低温管理

   菌は5℃以下では増殖しないため、低温で保管して菌の増殖を抑えます。 

以上のポイントに気をつけて、磯の珍味を味わってください。

 

参考までに平成11年8月19日に厚生省生活衛生局から発表になった資料から発生状況を引用しておきます。

最近の主な腸炎ビブリオ発生事例
発 生 年 月 日 自治体 原因食品(推定含む) 患 者 数
平成11年7月21日 大阪市 煮かに 235名
7月25日 岩手県 生ウニ(自家用処理) 112名
8月14日 北海道 煮かに 359名
8月14日 山形県 生寿司 609名
8月14日 茨城県 刺 身
(アオヤギ等)
170名
(死亡1名を含む)
8月17日 大阪市 生食用むき身貝
(輸入タイラギ貝)
252名


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