初めての夜光虫パドリング  98年5月

第一回様子見遠征

インターネットで夜光虫のことを検索していたところ、能登半島の九十九湾には海辺の宿があり、湾内は波が静かで、いつでも観察できるらしいとのことが分かりました。

とりあえず様子を見ようと思い、昼間だけシーカヤックで遊んだあとで能登漁火YHに泊まってみました。夜になり海面に石を投げ込んでみると面白いように光ります。早速YH前に置いてあるシーカヤックからパドルを持ってきて、海面に入れかき回して見るとなんともいえない光り方をします。普段見ないだけにとても面白いです。

その夜、漁船の船長さんで宿のオーナーでもある浜野さんに色々話しを聞いたところ、九十九湾の夜の海の様子を教えてくれました。「ナイトパドリングをいつかやってみたい」と言ったところ、いくつかアドバイスもいただけました。

翌日は九十九湾の外海ツーリングをして新潟に帰りました。

 

第二回ナイトパドリング遠征

ところが、それからというもの夜の海の発光の様子が頭から離れず、「ナイトパドリングで夜光虫を光らせて遊びたい」という強い欲求に負け、次の週末も2週連続で能登半島に行ってしまいました。

第2回遠征でYHに到着すると、YH前の海面には真っ赤な赤潮が発生していました。宿のオーナー曰く「赤潮が発生すると、海面がリン光のように真っ青に光ってかえって奇麗だよ。運がいい日に来たね」との思いがけない一言。

夕食が終わり、あたりが真っ暗になったのを待ってシーカヤックで出発。1分も漕がないうちに、海面に入れたパドルの周りの海水がモワァーモワァーと青白い夜光塗料のように発光!ひとかきごとに海面が光り、さらに夜光虫密度の高い所ではシーカヤックの周り全体が光り出し、しばし感動の渦に包まれていました。シーカヤックの後ろを振り返ると、自分の通った軌跡がくっきりと光り10mほど尾を引いていました。

前に進みながら海面を見つめると、カヤック先端で発生した波が光りながら自分の真横を通過し、SF映画のワープの時に星が後ろに流れていくような不思議な光景でした。止まった状態でじっと海面を見ると水中がきらきらと光り、仙台の光のページェントを思い出しました。

ひとこぎごとに感激しながら湾内をくまなく周り、赤潮地帯に入るとカヤックの周囲が、人ダマのように青白くゆれながらボーッと光り続け、その光でカヤック全体が浮かび上がるほどの明るさでした。ふとパドルに目をやると、空中に出したパドルも光り続け、凄いところに来てしまったのでは・・・と思いました。何故か涙が出てきました。あっという間に2時間半が過ぎ、22時になったので仕方なく上陸しました。

翌日の朝になると赤潮は全部消えて、元通りの綺麗な海へと戻っています。いったいどこにきえるのでしょうか。


後で分かったのですが、こんな光り方をするのは稀で、初めての夜光虫パドリングでものすごい発光の日にたまたま運良く訪れることができたようです。

 

能登漁火YH(ユースホステル)・石川県

何回行っても空振りなしで夜光虫遊びができた、海に面した宿。波の来ない九十九湾内はナイトパドリングに最適。

 


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