熱中症

熱中症とは、暑い環境下で発生する障害の総称で、熱失神、熱疲労(熱ひはい)、熱射病、熱けいれんなどに分けられます。この中で最も重いのが熱射病で、死亡事故につながります。様々なスポーツでこのことが問題になっているようです。もちろんシーカヤックも炎天下で日陰のない海上で行うので例外ではありません。

運動中は体内から大量の熱を発生するため、それほど高くない気温(20℃前後)でも発生したりするこがあり注意が必要です。また、30分程度の短時間でも発症することがあるそうです。

毎年6〜9月にかけて新聞に繰り返し掲載される死亡事故は健康な人に生じるもので、熱中症を理解していないために暑い中で無理な運動を続けたり、メンバーの予定を乱さないように我慢して行動したりすると起こりやすくなります。

熱中症の分類

熱失神 皮膚の血管が広がることによる血液の循環不全で、脈が速く弱く、呼吸数が増加、顔が蒼ざめる、血圧が下がる、一時的に意識を失ってしまったりします。
熱疲労(熱ひはい) 脱水や塩分の不足による症状で、力が抜けるような感じ、だるい、めまい、頭痛、吐き気などがみられます。
熱けいれん 大量に汗をかいた時、塩分抜きの水だけをガブ飲みして血液の塩分濃度が低下したときに、足、腕、腹部の筋肉に痛みを伴ったけいれんが起こってしまいます。
熱射病 体温が上昇して、中枢機能に異常をきたし、意識を失ってうわごとを言ったり、呼びかけても答えないなどの状態になり、死亡率はとても高いものです。

炎天下では無理な運動をしない

熱中症は気温、湿度、風速、直射日光などが関係しています。運動時間が長かったり、激しかったりするほど熱の発生が多く、危険性は高くなります。暑さや環境に応じた行動、休息、水分補給の計画が重要です。

2001/08/02 NHKの天気予報解説を見ていたら次のような目安の解説がありました。
この他に湿度や風などの影響もあるので、あくまでも目安としてとらえて。この温度以下でも発症する可能性があるので、この温度以下なら大丈夫と過信しないで下さい。
20℃〜  注意 この温度でも運動時は発症するということの理解が必要
28℃〜  警戒 積極的に休息 少なくとも30分に一度の休憩を取るなど必要
31℃〜  厳重警戒 激しい運動中止
35℃〜  運動は原則中止

水と塩分の補給

汗は体から熱を発散させて、体温が上昇しずぎるのを防いでいます。しかし失われた水分を補わないと脱水になり、体温調節能力や運動能力が低下します。暑いときにはこまめに水分を補給しましょう。汗からは水と同時に塩分も失われます。水分の補給には0.2%程度の食塩水やスポーツドリンクなどが適当です。

体調不良時は

体調が悪いと体温の調節機能が低下して熱中症になりやすくなります。疲れている、熱がある、風邪をひいている、お腹の調子が悪いなど、体調のすぐれない時には無理に運動をしないことです。体力の低い人、太っている人、暑さにあまり馴れていない人、熱中症を起こしたことがある人などは暑さに弱いので注意が必要です。

万一の緊急事態に備えての救急処置

熱失神 熱疲労

涼しい場所に運び、着ているものを緩めて頭を低く寝かせ、水分を補給すると回復します。水分を吐きもどしてしまうなどで水分がうまく補給できない場合には病院に運び、点滴を受ける必要があります。

熱けいれん

生理食塩水(0.9%)を補給します。

熱射病

意識障害が軽い場合もあるのですが、呼びかけに対する応答が遅いなど少しでもおかしい時は重傷と考えましょう。こんな状態でも死の危険がある緊急事態です。
体を冷やしながら集中治療のできる病院へ一刻も早く運ぶ必要があります。いかに早く体温を下げて意識を回復させるかが予後を左右するので、現場での処置が重要です。

命に関わることもあるので、真夏の炎天下の長距離パドリングは、こまめに休憩を取るなどゆとりを持った計画が必要なようですね。